狭山養生鍼灸院

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足の症状

こむらがえり、足全体の痛み、しびれ、膝の痛み、足首の痛み、外反母趾、足裏の痛み、かかとの痛み、等についての解説記事をご紹介しています。

「膝痛と灸 (1)」

 人間、長生きをしますと、ほとんどの人が経験する疾患があります。その1つが『膝の痛み』です。この膝の痛みには、八分灸ほどよく効くものはありません。八分灸とは平安貴族のすえていた方法で、もぐさが八分ぐらい燃えた時につまみ消すすえ方です。熱くなく、アトも残らないのに非常に大きな効果があります。20歳くらいの女性も小学生も多数すえています。

 私は何十年にもわたってお灸一筋の治療をし、かつ『お灸指圧教室』を開いて素人にお教えしていますが、その長い経験の中では、忘れられない患者さんにめぐり会うものです。その中の1人に、Aさんがおられます。Aさんにはいろいろなことをお教えしましたが、私もまたAさんから多くのことを学びました。そのAさんの話をしましょう。

糖尿病対策で膝痛

 

 Aさん(女性)は、11年前に初めて私の所に来院されました。当時65歳のAさんは、膝が痛くて来られましたが、糖尿病(空腹時血糖値で300くらい)も患っておられました。

 診ると、Aさんの右膝は腫れて『水』がたまり、階段を1段ずつしか降りられない状態でした。1回の治療でずいぶん楽になり、5回の治療で左右の足で交互に階段を降りられるようになりました。その効果には、Aさん自身が驚いておられました。
Aさんの膝痛の原因は歩き過ぎです。糖尿病には歩くことがよく、そのため毎日1万歩ずつ歩いていたのです。確かに歩くことはカロリーを消費し、代謝を促進し、血糖値を下げるのでよいことですが、足の筋肉や靭帯には過大な負担がかかり、よくないのです。つまり、内科的によいことでも、整形外科的にはよくないのです。

 人間の一部分に焦点を当てるのではなく、総合的に見なければなりません。膝が悪くなれば運動できず、かえって糖尿病も悪化します。

「ホームタウン」‘02年5月10日号 掲載
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「膝痛と灸 (2)」

 膝の痛みに、八分灸ほどよく効くものはないという話を続けましょう。八分灸は、もぐさが八分くらい燃えた時に消してしまう方法で、熱くなく、アトも全く残らないのに大きな効果があります。

 糖尿病を患っていたAさんは、運動療法で歩きすぎて膝を痛め、階段の昇降もままならぬ状態でしたが、八分灸をすえると短期間に階段の昇降がらくにできるようになりました。ここまでは、前回までにお話したところです。

 Aさんの膝には『水』がたまっていました。何度抜いても、またたまるとのことでしたが、『八分灸』で解決しました。

『潤滑油』を正常な状態に

 『膝に水がたまる』とはどういうことでしょうか。図は膝関節の中央断面です。関節は、関節包というもので包みこまれ、袋状になっています。この中に、周囲の組織から滑液が分泌されてきます。これは、膝の曲げ伸ばしがスムーズにできるよう、潤滑油の役目を果たします。これが充分でないと、ギスギスするのです。

 滑液は一定量が分泌され、かつ周囲の組織に吸収されています。ところが、吸収力が衰えるとバランスが崩れ、滑液が滞溜します。これが『水』のたまった状態です。お灸をすえるとこの吸収力が増大し、普通になってきます。常に温めるだけでは、吸収力の増大につながりません。温療法(温めること)と熱療法(お灸)とは表面上は似ていますが、本質的には異なるものです。

 世間では両者を一緒に考えていますが、それは誤解です。

「ホームタウン」‘02年5月24日号 掲載
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「膝痛と灸 (3)」

 膝の痛みに悩んでおられる方は、ずばり、八分灸をすえるべきです。これは、もぐさが八分くらい燃えた時につまみ消す方法で、熱くなく、アトも全く残らないのに、大きな効果があります。一度試されれば、その効果に驚かれるでしょう。

 私の長いお灸生活の中で、忘れられない人として、Aさん(女性)の話を続けます。

 Aさんは11年前、65歳の時に、膝が痛いので私を訪ねて来られました。結局、5回くらいで治り、階段の昇降も交互の足で出来るようになりました。同時に、糖尿病の治療もして、血糖値も下ってきました。

高血圧も改善

 Aさんにはもう1つ持病がありました。それは高血圧です。数年前から服用している降圧剤の下で、上が150くらい、下が90台でした。肩から背中にかけてのツボに八分灸をすえていると、しばらくして上が130台、下が80台に降下しました。膝の痛みは5回くらいの治療で治ってしまいましたが、糖尿病と血圧の治療のため、その後数ヶ月、細々と来院されました。いつも血圧が安定しているので、お医者さんは薬を弱いものに順次替えてゆかれ、ついに薬をやめてしまわれました。それでも血圧は前記のままで安定していました。喜ばれたAさんは、私の主宰する『お灸指圧教室』へ来られ、学んで、自分で八分灸をすえ続けられることになったのです。

 11年後、ギックリ腰で来られたAさんによると、八分灸をすえ続けた結果、この11年間、薬を全く服用したことがなく、一度も血圧が高くなったことがない、とのことでした。

 お灸の主要作用の1つとして自律神経の自動調節作用があります。全身の血管壁には自律神経が走っています。お灸の作用で、全身の血管が柔軟に保持されるようコントロールされます。

「ホームタウン」‘02年6月14日号 掲載
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「膝痛と灸 (4)」

 膝の痛みには、八分灸が本当によく効きます。その効果については、いくら強調してもしすぎということはありません。しかも、もぐさが八分くらい燃えたところでつまみ消しますから、熱くなく、アトも全く残りません。旧来のお灸のイメージとは全く異なるものです。

 もう1つ、ぜひ知ってほしいのは、副作用が全くないということです。また、素人が簡単にすえることができます。すえる場所は、押して痛いところであれば、どこでもよいのです。素人が誤ってすえたらより悪くなるという所はありません。

安静と灸で治療

 これも、素人が実行できる利点の1つです。私のこのシリーズを読んでおすえになってもよろしいですし、わからなければ私が開いている『お灸指圧教室』にいらっしゃればお教えします。そんな方は大変多いのです。お電話下されば、教室の案内書をお送りします。

 さて、私の40年に及ぶお灸生活の中で忘れ得ぬ人の1人として、Aさんの話をもう少し続けます。

 Aさんは、わずか5回の施灸で、階段の昇降がスムーズにできるようになり、かつ正座も可能になりました。Aさんはそれまで、買った本に書いてあった太ももの筋肉強化運動をしていました。イスに腰かけて、足の上下運動をするのです。これは軟骨のすり減りを補うため、筋肉を強化しようとの発想です。私は、膝痛の根本原因を筋肉や靭帯の硬化にあると考えます。よって、運動をやめ、安静にしてお灸をすえて治しました。

「ホームタウン」‘02年7月12日号 掲載
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「膝痛と灸 (5)」

 膝の痛みには『八分灸』が大変よく効きます。八分灸とは、もぐさが八分くらい燃えた時につまみ消す方法で、熱くなく、アトも全く残らないのに大きな効果があります。

 私の長いお灸生活の中で忘れ得ぬAさんの話を続けます。Aさんは、膝が痛くて私の所へ来られましたが、5回の施灸で階段の昇降も可能になり、大変喜んで下さいました。
ところが、Aさんと話をしているうちに、次から次へといろいろな疾患を打ち明けられ、結局、それらのすべてを治療することになったのです。

予防にも大きな効果

 つまり、糖尿病、高血圧、不眠症といったところです。今日は、まだ話をしていない『不眠症』をとりあげましょう。この不眠症にも、お灸はよく効くのです。主な施灸場所は、肩の上、後頭部、頭のてっぺんといった所です。

  頭へのお灸をすえると聞いた時、Aさんは尻ごみされました。頭へのお灸は熱いのではないかということと、はげるのではないかという危惧からです。女性であるAさんにとっては当然の心配です。

  私は答えて言いました。お灸は上から下へいくほど熱いものであること。つまり、頭が一番熱くなく、足の裏が一番熱いのだと。また、はげることはなく、円形脱毛症でもお灸をすえて治すのだと説明しました。一度すえると、頭のお灸がこんなに気持ちのよいものとは思わなかった、と話されました。実際、頭の中に涼しい風が吹き抜けたような爽やかな気分になります。結局、この不眠症も解消しました。
右のように、いろいろな疾患に効果を見せつけられたAさんは、その後『養生会』に入られました。養生会とは、私が設けているもので、体のどこにも悪い所がなくても、毎月2回ずつ、身体の重要なツボにお灸をすえ続けることを目的としています。Aさんはその後、10年以上にわたり、毎月2回ずつお灸をすえ続けていることになります。今も大変お元気です。
このように、お灸は、身体が悪くなる前に、予防医療として定期的にすえ続けることが最も効果的なのです。養生会の人は、皆大変お元気です。

「ホームタウン」‘02年7月26日号 掲載
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「膝痛と『お灸教室』」

 膝の痛みに『八分灸』ほどよく効くものはありません。何千年も続いてきた人類の知恵である『八分灸』をすえずに膝の痛みに悩んでいる人を見かけると本当に気の毒になります。そう言われても、「お灸って熱いんでしょう」と尻込みされる方が多いですが、八分灸は怖いものではありません。

 八分灸は、もぐさが八分くらい燃えて「熱い!」と感じた瞬間に左手でつまんで取り去る方法です。(図参照)では左手が熱くないか、と思われるでしょう。大丈夫です。左手の指をあらかじめ水にひたしてぬらしておくのです。すると、つまんでも全く熱くありません。八分灸では焼けアトも全く残りません。それでいて大変よく効くのです。

自分自身ですえる

 八分灸の効果は、硬化した『すじ』を柔らかくして痛みを除去するだけでなく、軟骨のすり減り防止にもあります。だから、当面の膝痛を治すだけでなく、軟骨のすり減り防止を通じて、いつまでも若々しい膝でおれる点が大きなメリットです。

 そのためには自分で膝に、折に触れて八分灸をすえる必要があります。だから『お灸教室』を開いてツボの取り方やすえ方をお教えしています。教室は毎年4月と10月から始まり、期間は半年間で、毎月2回ずつ計10回です。毎月第2、4水曜の午前と午後、及び第2、4土曜の午前と午後の計4コースがあり、選んで下さい。申込みと違ったコースでの受講(例、土曜午前の申込者が水曜午後の受講)も可です。

 膝痛が最も治しやすいのですが、この他に腰痛・坐骨神経痛・肩こり・五十肩・膝の痛み等あらゆる痛みの疾患にもよく効きます。こういう身体の後面に対する施灸については、独自のお灸器具を開発してあります。それを使って身体中どこでも自分で施灸できるよう指導します。お電話にて案内書と日程表をお送りします。ご請求ください。

「ホームタウン」‘05年8月5日号 掲載
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「膝の痛みと『お灸指圧教室』」

 本年度前期の『お灸指圧教室』を開きます(4月〜9月、各月2回ずつ計10回)。

 この教室、13年の歴史があり、毎期大好評です。教室では八分灸と簡単な器具による指圧をお教えします。膝痛、腰痛、坐骨神経痛、股関節痛、肩こり、五十肩、肘痛等、あらゆる痛みの疾患に、八分灸ほどよく効くものはありません。八分灸は、もぐさが八分くらい燃えた時に、皮膚から離してしまう方法で、熱くなく、アトも全く残りません。八分灸をすえずして、痛みの疾患に悩むとは不幸なことです。

 今回は、膝の痛みに限定して、どういう風に教室でお教えするか、説明しましょう。

ツボを“面”と考える

 (1)患者は、よい方の足から階段を降ります。その際、痛い方の膝でいちばん最初に痛みを感じた所を指1本で示し、その場所およびその前後左右を図の器具で押し、押して痛い所を黒いマジックペンで、丸で囲みます。

 (2)図のお灸器具の先端にもぐさをはめこみ、器具の背面側に点火します。柄を持って、丸で囲んだ場所に器具の先をつけたり離したりします。こうして一瞬のゆるい熱刺激を加えるのです。

 (3)またよい方の足から階段を降りてみて、最初に痛い所で圧痛のある所を丸で囲み、同様の施灸をして順次痛みを消してゆきます。

 こうすることで、ツボを点ではなく面として考えること、圧痛部位を器具で探すこと、施灸も器具を使うことでゆるい刺激を得、膝の裏にも施灸できること、以上により素人が簡単にできて大きな効果が獲得できるように指導します。

 日程は第2・4(土)の午前と午後、および第2・4(水)の午前と午後の計4コースがあり、案内書をお送りします。4月第4週からスタートです。

「ホームタウン」‘05年4月8日号 掲載
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「膝の痛みと『お灸指圧教室』」

 本年度前期の『お灸指圧教室』を開きます(4月〜9月、毎月2回ずつ計10回)。

 開設以来14年の歴史があります。この原稿を書いているちょうど今日、前の期の65名の方が修了されたところです。

 この教室では、熱くない、アトのつかない“八分灸”と簡単な器具を用いた指圧をお教えします。八分灸は、もぐさが八分くらい燃えた時につまみ消す方法で、熱くなく、アトも全く残らないのに大きな効果があります。八分灸は、膝の痛み・腰痛・肩こり・坐骨神経痛・腱鞘炎・五十肩・肘の痛みといった痛みの疾患にこれほどよく効くものはありません。そのうち最もすえやすい膝の痛みについて考えてみましょう。

お灸の刺激で痛みを解消

 膝痛の要因として
(1)膝のまわりの筋肉や靭帯が硬化して伸びにくくなること
(2)膝関節を構成する骨の先端にある軟骨がすり減ること
以上の2つが考えられますが、八分灸をすえると硬化した筋肉や靭帯が柔軟になり、スムーズに伸びるので、無理に引っ張られる所がなくなり、膝の痛みが解消します。また、お灸の刺激は軸策反射(じくさくはんしゃ)という作用を通じて軟骨にも到達し、その新陳代謝を促して、軟骨のすり減りを防止します。これがお灸とホットパック等で単に温めることとの違いです。腰や肩等には私の考案した簡単なお灸器具を用いて自分ですえられるよう工夫してあります。

 教室の日程は、第2・4(土)の午前と午後、および第2・4(水)の午前と午後の計4コースがあり、お電話にて案内書をお送りします。異コースでの参加可(例、土曜午前申込み者が水曜午後参加可)。

「ホームタウン」‘06年3月24号 掲載
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「かかとの痛み」

 かかとの痛みを訴える方は割合に多いのです。これにはお灸がよく効きます。また、素人でも治すことができますので、今回はこれをテーマとしましょう。

  ところで、かかとは〈踵〉と書きますが、「キビス」とも言います。この「キビス」は大変古い言葉で、『和名抄(わみょうしょう)』にも出てきます。

 時代は下りますが、江戸時代の辞書である『俚言集覧(りげんしゅうらん)』によると、かかとは関東で使われ、キビスは関西で使われていると記されています。

 古来、日本文化の中心であった関西の言葉である「キビス」は、多くの文献に出てきます。そこでは「踵(きびす)を返す」(引き返すの意)とか「踵(きびす)を接する」(人のあとに密着して行くの意)といった慣用句として出てきます。

三面からお灸をすえる

 さて、かかとには『踵(しょう)骨(こつ)』という骨があります。治療は踵骨の三面で考えられます。

 まず第一は踵骨の後面で、ここにはアキレス腱が付着しています。ふくらはぎの筋肉は、下方にゆくにつれてだんだんとアキレス腱に移行してゆき、最後に踵骨に付着するのです。この付着部分がお灸の注目点となります。

  二番目には、踵骨の内側面が問題となります。踵骨の内側面と内果(うちくるぶし)との間には、『屈筋支帯(くっきんしたい)』という強力な靭帯(じんたい)が張っているからです。

  三番目には、踵骨の外側面に注目する必要があります。外果(そとくるぶし)と踵骨外側面との間にも有力な靭帯が張っています。

  いつも述べるように、筋肉や靭帯の付着する部分はお灸の狙い所となるのです。

 図に円で示したように、踵骨の後面・内側面・外側面の三方で圧痛の有無を調べ、それぞれの円内に3ヶ所ぐらいずつ圧痛点を取り、それらに各々8壮ぐらいずつの八分灸をすえればよいのです。

 最後に、膝の真うしろの『委中(いちゅう)』というツボに灸をすえます。こういう遠隔部に灸をすえられるかどうかは、プロと素人との大きな違いです。

「ホームタウン」192号 掲載
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「足底の痛み」

 足の裏が痛いと訴える方がおられます。足底部の痛みには、お灸がよく効きます。

 なぜ足の裏が痛くなるかというと、足底にはたくさんの筋肉があり、年をとるにしたがって、それらは固く変質してゆきます。そんな状態で足を踏んばると、筋肉がスムーズに伸びず、そのため無理にひっぱられる所が生じ、そこが痛むのです。

 若い人でも痛む場合があります。よくあるのは、剣道をしている人が、勢いよく打ち込む際に右足のカカトに衝撃を受け、そこが痛む場合です。先日、ある高校の剣道部員が治療に来て治ったところ、同じ部員が5〜6人も続いて来院したのには驚きました。

  足底のうち痛むところは、カカトの部分・土踏まず・足の指に近い所──の3ヶ所が多いようです。

 お灸は圧痛の強い所を探してすえればよいのですが、手の指で押したぐらいでは、圧痛部位を見つけるのは困難です。ちょっとした工夫がいります。それは、削っていない鉛筆で押してみるのです。三菱のUniという、端が少し丸味を帯びた鉛筆が適しています。これを用いると、圧痛の強弱がはっきりします。圧痛点を5ヶ所ぐらい選び、灸点とします。

小さな工夫から大きな効果

 これは何でもないように見えますが、実は、こういう小さな工夫の集積が、大きな効果を発揮するのです。

 最近、東海大学の唐津一さんの、技術に関する本を読みました。唐津さんは、日米半導体の技術格差について、そのオリジナルがアメリカであるにもかかわらず、日本企業が工場ぐるみで小さな工夫の積み重ねに努力した結果、日本の方が優秀な製品をつくるようになったと述べておられます。お灸も、小さな工夫の連続なのです。

 足底においては、他の部位ではとうてい辛抱できないくらいの灸をすえなければ、熱さを感じません。

  もぐさを硬くひねって小豆大にし、点火の後、口で吹いて風を与え、いわゆるいこった(・・・・)状態にするのです。患者が熱さを感じたら、直ちに消してしまいます。もぐさの消し方は、あらかじめ用意しておいた少量の水をかけるのが、最も簡便な方法です。

「ホームタウン」193号 掲載
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「足裏の痛み」

 足の裏が痛くて悩む人は多いものです。一口に足裏の痛みといっても、かかと、土踏まず、足指のつけ根の部分と、痛む場所はさまざまです。また、アキレス腱やその近く、あるいは内外のくるぶしの痛みと足裏の痛みが合併している場合も見うけます。

 その他、患者さんの訴えを述べると、足の裏がしびれる、足底に何かをくっつけたような感じがして、ゴムの上をふわふわと歩いているようで大地をしっかり踏みつけて歩いている感じがなく気持ちが悪くて仕方がないという場合もあります。リウマチで足底の関節が変形してきた時は、とくに痛みます。

熱刺激が深く伝わる

 リウマチを含め、以上のすべての症状に八分灸は大変よく効きます。

 八分灸とは、もぐさが八分くらい燃えて熱さを感じた瞬間に、ハイ!の合図で燃えているもぐさをつまみ消す方法ですから、一般にいう熱さはありません。こわごわ入って来た新患さんには、一つ試しにすえてみて、いやだったら遠慮なくお帰り下さいと言うことにしています。けれども「何だ、こんなことだったのか」と言って、帰られた方は1人もおられません。

 ところで、多くの方はお灸の熱刺激とホットパックなどの温刺激を同じものと考えていますが、全く違うものです。

 ホットパック等の温刺激は、皮下の浅い所までしか伝わりません。これに対し、お灸の熱刺激は深部の組織に伝わります。八分灸の熱刺激は一瞬の刺激ですが、それが電気刺激にかわり神経を伝わって脳に達します。しかるに、神経は途中で枝分かれして深部の組織に入りこんでいます。だから八分灸の一瞬の刺激もその組織である筋肉等に達します。そして、そこにある毛細血管を急膨張させ、血流を急改善して発痛物質等を流し去り、痛みを除去するのです。

「ホームタウン」2003年12月19日号 掲載
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「膝、足腰の痛みと八分灸 (1)」

膝が痛い、足腰が痛んだりしびれたりする、足首が痛い、足の裏が痛んだり違和感がある等の症状に、八分灸ほどよく効くものはありません。 八分灸とは、もぐさが八分ぐらい燃えた時につまみ消す方法で、熱くなく、アトも全く残りません。小学生や若い女性もたくさんすえています。八分灸をすえずして前記の症状で悩むなんて、まことに損なことをしていることになります。お灸が何千年も続いてきたのは、効果が高く、副作用がないからです。

“常識”は正反対

ところで、下のかこみ書きは、私の所へ来られた初心者に必ず渡すものです。見て下さい。皆さんがもっておられる常識と正反対と思われませんか?皆さんは筋肉や靭帯を鍛えなければならないと思っておられる。私は鍛えてはいけないと申し上げているのです。何故でしょうか?世間では痛みの主原因を骨の変形に求め、それを補うため筋肉を鍛えるという発想になります。私は痛みの主原因を筋肉の硬化だと考えますから鍛えたらますます悪くなっていくと考えます。

「ホームタウン」‘08年1月25日号 掲載

「ホームタウン」‘08年1月25日号 掲載
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「膝、足腰の痛みと八分灸 (2)」

前回、膝の痛みや足腰の痛みに八分灸が大変よく効くこと、注意事項として膝や足腰の筋肉をきたえてはいけない、と述べましたところ、大きな反響がありました。中には「目から鱗が落ちた」という便りもありましたが、多くは私の考えが独断に過ぎないのではないかというご意見でした。そこで再度お話をいたします。

痛む筋肉を柔かくして治す

「ホームタウン」‘08年2月8日号 掲載世間では、足腰の痛みの原因は骨の問題であると考え、筋肉をきたえることにより骨の弱点を補ってやろうとの発想が一般です。だから、重りをつけて膝を上下させるとか、水中歩行したり、スイミングをしたり、ウォーキングをしたり、背筋や腹筋をきたえる等の運動が推奨されます。一方私は痛みの主原因は筋肉の硬化だと考えますから、筋肉をきたえたらますます悪化すると言うのです。そこで、読売新聞の名物記事「医療ルネサンス」3745号(平成17年11月29日)の抜粋をかかげました。これによると腰痛の85%が原因不明だと言っています。椎間板ヘルニアや脊柱管狭さくと言っても、そんな骨の異常はほとんど腰痛や足の痛みと関係ないと言っています。真の原因は筋肉の硬化で、八分灸は筋肉を柔らかくして治します。

「ホームタウン」‘08年2月8日号 掲載
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